徒然映画録『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』 ~たまには演出の話も

徒然映画録『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』 ~たまには演出の話も

すみません、しばらく更新サボっていました。
サボってはいたのですが元気です。
普通にとても元気です。

さて、今回は映画の感想をば。
たまにこういうの観るのもいいですね。
『ドラえもん のび太のカチコチ南極大冒険』

71JgUjCbVLL._SY445_.jpg

子ども向けの映画ってけっこう馬鹿にできません。
制作側も親同伴ということがわかっているので、
ちょいちょい大人にぐさっと刺すものを入れてくるんですよね。

でも、この映画は残念ながらそうではなかった。
ちょっと悪く言ってしまうと、
一時期のポケモン映画に近い雰囲気です。

……

まあ、まずは簡単にあらすじを。

ご存知ぐうたら主人公、野比のび太は、
あんまり暑い夏を快適に過ごすため、
南極に遊びに行きます。

ドラえもんの秘密道具でテーマパークまで作ったところ、
氷の中に不思議なリングが眠っていました。
ドラえもんがそのリングを調べてみると、
大昔の誰かの落とし物だという。

落とし物の主を探すため、
のび太たちは南極を冒険するのです――。

とまあ、こんな感じ。
ドラえもんの映画は恒例のパターンがあります。

ゲストキャラクターがいて、
そのキャラクターに対立する敵がいて、
のび太たちがその敵に立ち向かう。

その間にゲストキャラクターの掘り下げや、
あるいはのび太とその友だちの関係に焦点が当てられ、
けっこう鋭いすれ違いが描かれるときもあります。

原作漫画ではそういう場面もさらっと描かれるのですが、
地味に人間臭いというか、
人間の醜い部分が描かれていることもあるんですよね。
『海底鬼岩城』のバギーなんかはいい味出していると思います。

今回の映画もそういうシーンがあります。
途中経過はいろいろ省いて、
二人のドラえもんがのび太の前に現れる場面です。

もちろん、どちらかが本物でどちらかがニセモノ。

一方のドラえもんは首の鈴とポケットがある。
もう一方のドラえもんは鈴もポケットもなくて、
なんだかボロボロの姿。

鈴とポケットのあるドラえもんは
もう一方のドラえもんなんか見捨てて、こっちに来いという。

のび太にとっては究極の選択です。
なにしろドラえもんラブ……もとい依存的な面がありますから。
そして、のび太はドラえもんのことを
誰よりも深く理解している人物です。

選ぶには相応の理由とドラマがあるはずだ。
私の期待は否応なく高まります。

そしてその選択の時が来ます。
もちろん、のび太は本物のドラえもんを選びます。
それはお約束なので突っ込むまい。
そしてニセモノがのび太に問いかけます。
「どうして本物がわかったんだ?」

ここがとても大事なところ。
私はのび太の答えをわくわくして待っていました。

そして、彼は口を開き、その答えを告げます。
「こっちのドラえもんが嘘をついているように見えないから」
というものでした。

……え?

……え?

つい二回言ってしまった。
そりゃないでしょう!

いいですか? もう一度言いますけれど。
のび太はドラえもんのことを誰よりも理解している人物です。
本物を選ぶには相当の理由があるはずです。

別にそれは言葉でなくてもいい。
仕草だったり、目の光だったり、
匂いだったり、音だったり、癖だったり。
あらゆるものを感じて選ぶはずなんです。

で、選んだからには胸を張って言ってほしい。
「このドラえもんしか、ぼくにはいない!」と。
それがのび太ってものでしょう。

別にいいんですよ。
のび太は小学五年生だし、うまく喋れなくても。
彼が自信を持つことが、私たちには何よりの説得力なんです。

でもなあ……これはなあ……。
「究極の選択」みたいに演出されていたのに、
その幕切れがあっけなさすぎて、私はがっかりでした。

最初の方にも書きましたが、
ドラえもん映画はファンタジーとしても面白いし、
ちゃっかり人間関係もうまく描いているのが
良いところだと思うのです。

せっかくフィーチャーするなら、
もっとドラマチックに演出しましょうよ!

そんなことを思った
一軒め酒場での出来事でした。
(iPadで飲みながら観ていたので)

bantenmaru