ゲーム感想

ゲーム感想「ブルーアーカイブ Vol.5 第1章」〜シュロの望む物語を私も見たい!

ブルーアーカイブのVol.5 第1章の感想です。シュロの意図する「お互いを傷つけ合う物語」に感じた美しさ。そして「嘘が真になる」ことを語る先生はシュロとある意味同じなのではないでしょうか?

それでは、今回の心への旅に出かけましょう!

目次

  1. あらすじ
  2. シュロが望んだ物語は、人間の矛盾を美しく描き出したもの?
  3. 「嘘がやがて本当になる」と語る先生は、ある意味シュロと同じ
  4. 今回の結論

あらすじ

ニヤから「気になる書簡が届いた」との話を聞いて百鬼夜行に向かう先生。街中で偶然、治安維持組織の「百花繚乱」のユカリと出会い、彼女が百花繚乱のかつての姿を取り戻す手伝いをすることになった。しかし、かつての百花繚乱の仲間たちは冷たく彼女を突き放す。

決闘を諦める形で彼女は本来の巫女の役目に戻ろうとする。しかし祭りが始まった途端、大きな爆発が起こり、祭りはめちゃくちゃに。それは「百物語」を作り出そうとするシュロの陰謀の始まりだった……。

シュロが望んだ物語は、人間の矛盾を美しく描き出したもの?

Xではシュロが随分痛い子扱いされていますが、まあそれはわかりますね。「私が考える最高の物語」がけっこう陳腐かつ、思い通りにならないと癇癪を起こすようなところが。

ところで、何が彼女にとって最高の物語なのかというと「お互いがお互いを思いやった結果、全員がみんなを傷つけあってしまう」でしょう。途中まではその思惑通り進んでいましたが、先生の活躍で嘘で壊れたものは修復が始まり、嘘から始まった素敵な真実はそのまま信じ続けられる結果となりました。

物語としてはきっとそれが綺麗な結末でしょう。嘘であったとしてもお互いを信じて前向きに進めるのがみんなにとっていい物語です。確実にそう言えます。

ところが、です。私は意外とシュロの描く物語が好きだなあ、と思ってしまいました。その好きポイントが、まさにシュロが求めていた「お互いがお互いを思いやった結果、全員がみんなを傷つけあう」というところです。

もちろん、登場人物たちにとってはたまったものではない、ということは承知しています。しかし、物語としては美しい側面があるとも私は感じています。

私自身、「キラキラひかる」でも書いたように。物語の中に矛盾をはらむものが好きなのですよ。

好きなのに傷つけてしまう。嫌いなのに離れることができない。

人間の感情はきっぱり割り切れるものではない、というのが私の持論です。愛する人の中に憎らしい点があっても良いではないですか。その矛盾性こそが人間の良いところなのだと。

シュロが描こうとした物語は、まさにそうした人間の矛盾した点なのではないか、と思うのですよ。傷つけないようにしたつもりなのに、傷つけてしまう。

残念ながら、というべきなのか、先生の活躍によって最悪の可能性が実現することはなかった。ゲームなのでもちろん後味が良い方が良いに決まっています。そうとはわかりつつ、シュロが思う完全な物語の実現も見たかったなあ……。

「嘘がやがて本当になる」と語る先生は、ある意味シュロと同じ

もうひとつ気になった点があります。

百花繚乱のメンバーたち、特にナグサは自分が本来の弱さを隠して委員長代理を続けたことが、この物語の中で「嘘」として扱われています。クライマックスでその嘘が暴れるものの、先生は「ナグサにとっては嘘であったとしても、ユカリにとっては真だった」という趣旨のことを伝えます。

これは嘘をついていたことを擁護するというか、綺麗にまとめた言葉だと思いますが、同時にシュロに対しても当て嵌まってしまうと思います。

シュロは自分たちの「百物語」を作ることを目的としています。それが何かは現時点で具体的には語られませんが、それこそ現実に存在しない何かを現実にしようとする試みだと思われます。

嘘を真にする。この点でナグサとシュロは同じことをしているのです。なので、先生の言葉は美しいと同時に危うくもある。ここに今後ブルアカのストーリーが触れるかはわかりませんが、シュロが紡ぐ物語の先があると信じて続きを待とうと思います。

って、私はどっち視点に立ってるんや!

今回の結論:シュロは悔しいかもだけど、私は良かったよ!

って、私はどっち視点に立ってるんや!

まあ、確かにシュロの望む物語がそのまま完結したら、それはそれで陳腐な物語なので。難しいですね。物語を作るのは。私も物語を書いたことがある身として自省しながら今回の記事を終えようと思います。