今回はブルーアーカイブの Vol.4 第2章「We Were RABBITs!」の感想です。ミヤコたちの物語が良かったが、スケールダウンと不知火カヤの描写に疑問があります。一方で先輩後輩の美しい絆が光っていました。
それでは、今回の心への旅に出かけましょう!
目次
- あらすじ
- スケールダウンのさせ方、その犠牲となった不知火カヤ
- 先輩後輩の物語の美しさと面白さ
- 今回の結論
あらすじ
キヴォトスの異変が落ち着いたと思ったのも束の間、異変解決のリーダーとして活躍した七神リンが連邦生徒会から失脚させられる事件が発生。それは同じ連邦生徒会の不知火カヤが起こしたクーデターだった。カヤは自身の権力基盤を固めようと、ミヤコたちの先輩であるFOX小隊を利用し、さらなる野望を企てようとする。再び危機に陥った生徒会と街を救うべく、ミヤコたちRABBITチームは先輩たちに立ち向かう。
スケールダウンのさせ方、その犠牲となった不知火カヤ
最終章であれだけ感動的な盛り上がりをしてしまった後に来る物語は、どうやっても厳しくみられる、というのは理解しています。それでも、この章をあの最終章の後に持ってくるべきではなかったな、というのが私の第一印象です。
最終章はキヴォトス全体を巻き込んで、というか世界全体を巻き込んでの崩壊とそれを防ぐ物語でした。その後にもう一度キヴォトス全体に及ぶ物語をやるべきではなかったな、と思います。明らかにスケールダウンしてしまったと感じられました。
いや、スケールダウン自体はしょうがないと思います。世界全体の崩壊を描いたら、あとはどうやってもスケールダウンするしかないわけで。ただ、それだけ大きな物語を描いたなら、今度は逆に非常にミクロなスケールを描いた方が良かったような気もします。
そのストーリー運びの犠牲者が不知火カヤだと私は感じました。特にカヤがクーデターを企むこという筋書きが良くなかった。彼女が下手に壮大な野望を抱いているので、話のスケールも大きくなるだろうと期待してしまっていました。そして、リンを排除したあたりまではその期待感に応えていたと思います。
しかし、それ以降彼女が何を成し遂げたかというと、何も成し遂げず。巨大なミサイルをぶっ放そうとしたら、その野望があっさり潰えてしまいました。結果、カヤの小者感が半端なくなってしまいました。そもそも、彼女が権力を手に入れようとしていた動機も本当に小さなものだったので。。。
また「正義」という観点からも、この章はあまり説得力もなかった気がします。これもまたカヤの描き方に起因してしまうのですが。。。
こちらも途中までは良かったと思います。犯罪が発生する可能性を徹底的に潰す。大きな犯罪は起きなくなったけれど、窮屈な世界。今までの物騒な世界とどちらがいいか、という問いを投げかけたまでは良かった。
しかし、カヤが自分の権威を誇示するためにミサイルの起爆を決定した時点で、悪党が急にカヤ一本に絞られてしまいました。窮屈だが犯罪が起きない世界と、物騒だが自由な世界と、という択一問題から、急にわかりやすい巨悪が現れてしまったので、ミヤコたちの信じる正義が苦労もせず正解に辿り着いてしまったという感じがしています。
本来あるべき生徒会の姿から逸脱した時に、当の生徒会を取り締まることが正義である。ミヤコたちがその役割を演じたことは悪くはありませんが、お膳立てされた結末でしかないな、と思ってしまうのです。
端的にいうと、カヤがミヤコたちの正義を表現するための舞台装置に成り下がってしまったな、という印象なのです。
先輩後輩の物語の美しさと面白さ
一方で、先輩と後輩の物語としてはうまくまとまっているな、と思いました。
先輩がそれぞれ相当の実力者である描写がしっかりされており、万全な状態ではFOX小隊がRABBIT小隊の個々人の力を上回っていることが否応なくわかります。そんな先輩を相手取った時に、ミヤコたちがどうやって乗り越えていくか、我々プレイヤーは軽い絶望感を覚えていたと思います。でも、ミヤコたちはそれを乗り越えていきます。特殊な環境下において、先輩に生まれる弱点を突いて突破していく。このシーンは、快感を覚えるほどに気持ちがいい瞬間です。
そして、それは先輩が後輩に劣っているから、というわけではなく、特殊な条件下だからこそ、ということも理解できます。その条件とは、先輩たる彼女たちが後輩を信じていたこと、です。
これがまた良いんですよね。「仲間を信じていないから負けた」というのは良くありますが、「後輩を信じていたから負けた」というのはとても美しい。とても前向きな負け方です。
これだけではありません。先輩たちは現実に心が折れてしまい何もかも諦めているように見えました。けれど、後輩たちは自身が信じる未来に向かって心折れずに立ち向かい続けている。そんな姿を見て、先輩は「それは無駄なんだ」と口ではいうものの、心の底から後輩たちをねじ伏せようとはしませんでした。後輩を信じる未来を信じる。それが先輩の美しさでもあると思います。
結論:カヤはどんと構えておれ!
結果的にはカヤの暗躍が大きく物語を動かすのかな、と思わせつつ、彼女は小者であったという残念さがどうしても目立ってしまいました。ただ、ミヤコたちの物語としては、先輩と後輩の信頼関係としてとても美しくまとまっており、とても惜しい章だった、と感じました。
あと果てしなくどうでもいいですが、所確幸のメンバーがここにきて復活してきたのがめちゃくちゃ面白かったですね!