今回は「ONE PIECE」107巻の感想です。その中でもコビーに焦点を当てたいと思います。彼なりの正義と挫折とそれを打ち砕く強さが今回の記事のキモです。
それでは、今回の心への旅に出かけましょう!
目次
- コビーは挫折と成長と共に歩んできた
- 恐怖があるから、コビーの勇気が光る
- 今回の結論
コビーは挫折と成長と共に歩んできた
元々コビーはアルビダの船にうっかり乗ってしまってから、挫折と成長を繰り返してきたキャラクターだと思います。何しろ、フーシャ村を出て次に出会ったキャラクターなので、その深みがすごい。
一般人としてアルビダの船に乗り込んでしまい、勇気もなくヘコヘコしていた自分。ルフィとの出会いでそれを乗り越えます。海兵になってから、ガープとの修行を経て強くなっていきますが、頂上戦争でバタバタと仲間が倒れていくことに無力感を覚え、赤犬と対峙する。また自身の強さを磨き、ある事件で海軍の英雄と呼ばれるも、黒ひげに拉致されてしまう、といった具合に。
なんだったら主人公のルフィ以上にそうした挫折と成長を繰り返したキャラクターなのではないかと思います。今回はそんな彼が、今までで最大の見せ場を作ったのではないかな、と思います。
仲間たちの力を借りて、黒ひげ一味から逃げ出そうとするも、島を自身の体の如く扱う、ONE PIECE内でも大きさではトップクラスの敵と対峙するという場面。彼が勇気を振り絞って敵の拳を打ち砕くシーンは、そんな彼の経験が凝縮されたシーンではないかと思います。
恐怖があるから、コビーの勇気が光る
それにしても、なぜ今回はここまでコビーに惹かれるのでしょうか? 考えてみると、それは彼の弱さに起因するのではないかな、と思います。
彼は確かに初期に比べれば圧倒的に強くなりました。それでも、今回の戦いで恐怖を感じており、彼の爆発力はそうした状況に追い込まれないと出てこないものだと描写されています。それは常に安定した強さを発揮することに比べてみると弱点といえます。
でも、それが私にとってはいいところでした。彼は強くなったとしても「恐怖」という感情を忘れることがありません。彼が戦うときにはほとんど恐怖との戦いになっています。その恐怖を乗り越えたとき、事態が前に進んでいく。
それはある種ウソップにも通じるところがあると思います。彼も恐ろしい相手と対峙したとき、逃げたり負けたりしながらも、仲間のためには立ち向かえる勇気を出します。それが私たち一般人に近い感覚で、共感が持てるんですよね。
コビーとウソップの違いは、ウソップがハッタリや閃きで事態を打開するのに対し、コビーは自身の実力を発揮していくところでした。アルビダや赤犬と対峙したときは、他の人が助けてくれましたが、今回はコビー本人の力で乗り越えたところが大きいと思います。
「オネスティ・インパクト」なんて、響きはかなりダサいながら、実直に修行を積んで、自分の力だけで繰り出した技として、これ以上ないくらいピッタリな名前だと思います。
結論:コビーは恐怖を忘れずに、もっと強くなれる
残念ながら、彼の師匠であるガープが敗北してしまったので、彼のチームの完全な勝利とは言えません。ただ、コビーがその出来事を乗り越えて、もっと強くなっていけると私は信じています。同時に恐怖という感情も忘れずにいてほしい、と思うのです。