映画感想

映画感想「ONE PIECE FILM RED」〜新時代ってなんだろう?

Twitterでたくさんの夢女を破ったらしい映画を観てきました。って、概略紹介酷いな。

FILM REDのポスター

ちなみに、私はONE PIECEのコミックスを全巻持っている程度のファンです。数年前ならそんな人がそれなりの数いたと思いますが、現在はむしろONE PIECEファンの中でも少数派になりつつある気がします。少なくとも身の回りでは全巻持っている人はいない……。

そんなONE PIECEが最終章に入るタイミングで公開された映画が、今回の『ONE PIECE FILM RED』です。一応、尾田先生が手がけたFILMシリーズは全部観ているので、今回も観ましたが……なんとも感想書きづらい映画でした。

ですので、今回は気になった要素をバラバラに書いていきます。統一した感想ではないかな。

ウタについて

この映画の主役であるウタ。主人公ルフィの幼馴染であり、かつルフィの大恩人のシャンクスの娘という、とんでも設定を引っ提げた女の子です。あれだけ膨大な設定が詰め込まれたONE PIECEの根幹に近い部分で、よくそんな映画オリジナルキャラ作れましたね!? でも、なんというか、相当Adoさんの影響を感じるキャラ像でした。

Adoさんの歌って「現代のワカモノの鬱屈した思い」を鋭いストレートで投げる曲が多い印象です。だから、Adoさんにも闇の側面がありそれを隠さないタイプなんだなって印象が強いです。

わかっています、そんな浅はかな第一印象が大いに間違っていることは。私はAdoさんに会ったことも話したこともライブ行ったこともない、批評家でもないので個人的な印象でしかありません。

でも、このウタというキャラクターに、その浅はかな印象を“あえて“投影したように私には見えたんですよね。絶望したときの目つきとか、攻撃的な歌を歌っているときの声とか。世間を攻撃するように歌うAdoさんの印象は、ONE PIECE世界では意外とレアな風景なんです。

そんな印象を投影した彼女だからこそ「新時代」を歌えるし、自分が「新時代」を創ると豪語できるのでしょう。そして、その理想を否定されることをひどく恐れる。闇を抱えるゆえに攻撃的になり、打たれ弱い。私の浅はかな印象がそのまんま、ウタに投影されたように感じた理由です。

ウタが好きか嫌いかでいうと、好きだけど近寄りたくない、という感じ。遠くからファンとして応援したいけど、近くでハイタッチとかは無理。私が手を振るから、私に手を振らないでほしい。そんな感じです。(なんか酷いな)

新時代は理想の世界なのか?

さて、そんな彼女が頻繁に口にし、曲名にもなった「新時代」。作中では大海賊時代が続いているので、その次の時代が何か?ということですね。本編ONE PIECE世界における新時代はこれから描かれるので、今回はウタが抱いた理想の新時代に言及します。

ウタの理想とした世界は素晴らしいです。争い、貧困、飢餓から解放され、美味しいものを食べ続けられ、楽しい歌が毎日流れる、そんな彩り溢れる毎日。労働もありません! ほら、みんなTwitterで書いているではないですか。「労働が絶滅すれば世界は平和になるのに!」って……極大解釈すぎる?

しかし、作中のウタの観客たちは、この理想に賛否両論となります。「おれ仕事あるし」というお兄さんの声、「ウタは私たちのことを思っているんだよ!」というお姉さんの声……作中ではこの理想に対しての判定は下されません。その議論が深められる前にウタが暴走してしまったので。

この物語の理想の世界は、残念ながらウタのみの主観によってできてしまったのです。海賊を否定し、歌でみんなを魅了することでウタは自分が肯定されたと思った。その自己承認体験を暴走させた結果、造られた夢の世界。それを否定すれば自分はぬいぐるみになってしまう。それはONE PIECE世界で思想統制を行う世界政府に近い行為かもしれません。

しかし、ウタの新時代の理想自体は、やはり私は間違っていないものだと思います。あくまで今回の映画では、理想の成立の過程が乱暴すぎただけだろう、と私は思います。

実際、どうなんでしょう。私も一度そういうことを考えて、お話を書いたこともあります。そのときの私の結論は「いずれAIによって労働が不要になるのだから、人類は好きなことを好きなだけやればよい」というものでした。それに反する人たちは稀有かつ時代遅れだ、と。

ここら辺は、あえて結論を描かないことで、観客に自由に考えさせようとしたのだろうな、と私は思います。

シャンクスについて

おまえ、めっちゃ動くし喋るじゃないか! びっくりしたわ。それはさておき、私は彼には一つ文句を言いたいのです。

ウタを置いていくんじゃねぇ! お前がすべての元凶だ!

ルフィについて

おまえが一番かっこいいよ!

ブルーノについて

おまえが一番かわいい、おまえが優勝だ!

以上、とりとめなかったですが、『ONE PIECE FILM BLUENO』の感想でした。異論は認めない。