映画感想

映画感想「ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険」〜ワンピースが初めての方に!

ONE PIECEが初めての人にぴったりな映画

最近、ONE PIECE映画がとても盛り上がっていますね! でも、一方でONE PIECEがまったくわからない人もいるでしょう。今回の記事はそんな方にぴったりな映画をご紹介します。

それが「ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険」です。

「ONE PIECEの映画が話題になっているけれど、キャラクターとかストーリーとか全然わからない!」という人でも、この映画を見ればキャラクター、ストーリーをざっくり掴むことができます。

それでは、今回の心の旅に出かけましょう!

あらすじ

この映画の主人公たちである「麦わらの一味」、食費にも困るほど貧乏な状況の中、賞金を得るために危険な「デッドエンドレース」に出場することに。

その一方、レースの一番人気「ガスパーデ」が仕込んだ陰謀が動き出す。賞金稼ぎ「シュライヤ」、ガスパーデの船のボイラー室で働く「アナグマ」も絡み合い、ただのレースでは終わらない展開に。

果たして、麦わらの一味はこのデッドエンドレースで優勝することができるのか?

原作をしっかりオマージュしている

この映画が公開されたのは、原作が24巻が刊行された頃です。それまでに主人公の「モンキー・D・ルフィ」をはじめとした「麦わらの一味」は、ニコ・ロビンを仲間に加えて7人となっていました。(今100巻以上出ていることを考えれば、24巻は初期ですね)

この映画の素晴らしいところは「原作コミックスを全部読んでいるよね」という前提で作られておらず、むしろ「コミックスを読んでいなくても楽しめるよ」という作りであるところです。

この映画のオリジナルキャラクターの「アナグマ」が麦わらの一味の船に忍び込むのですが、潜入がバレてアナグマと麦わらの一味の遭逢した時のシーンで、さりげなく麦わらの一味の特徴を見せているのがうまい。

  • ルフィは悪魔の実を食べたゴム人間であり、手や足を伸ばせたり、銃弾が効かない体である
  • ゾロとサンジは圧倒的な戦闘力がある
  • ナミはお金にうるさく、どんな絶望的な状況でも生きることを諦めない
  • ウソップは冒険にビビりつつも、狙撃手として卓越した腕を持つ
  • チョッパーは変形するトナカイであり、心優しい船医である
  • ロビンは謎めいた美女、手や目を無数に生やす能力を持つ

こういった要素をさりげなく盛り込んでいます。原作での特徴をぎゅっと濃縮した感じです。

また、映画の中であえて原作と同じギャグシーンを盛り込んでいるのも良いです。

「バカヤロー、コノヤロー」(かわいい)

映画から入った人も漫画と同じノリを楽しめるので、漫画への入門編にもなります。

キャラクターの特徴が端的に掴める、特にルフィ

上記とも関係しますが、キャラクターそれぞれの信念をこの映画はわかりやすく示してくれています。

特に顕著なのがルフィ。彼が海賊王を目指していること、その夢のために戦って死ぬことは構わない、麦わら帽子が命の恩人であるシャンクスからもらったものであり、彼の宝物なのだということ。

この信念が見えるのが、アナグマとの衝突です。アナグマは自分の命の恩人であるじっちゃんを助けるために命懸けで海賊の船に乗り込むのですが、ルフィからすればその覚悟は「甘い」。それにせっかくじっちゃんに命を助けてもらったのに、その命をじっちゃんのために投げ捨てるのはおかしいと指摘します。

ルフィの過去はこの映画で詳しく語られませんが、それでも彼の信念をはっきりと口にしてくれるので「ルフィは夢に真っ直ぐであり、その苦難の道を覚悟している」ことを理解できます。それも、アナグマの衝突という場面で描かれるので、口だけの薄っぺらなものではないともわかりますね。

大切な帽子を見て語るあたりに説得力があります。

また、彼の信念を掴みやすいから、この作品のボスのガスパーデの対比もわかりやすい。何せ、ルフィはガスパーデのことを「クズの匂いがする」と言い放っていますからね。(すごい暴言)

なにしろ、ガスパーデはルフィの信念と真逆の要素てんこ盛りのキャラクターです。卑怯な手を使う、同じ船の乗員は「手下」と呼んで見下す、力による支配がすべてと豪語する……枚挙に暇がありません。

そんな彼に突きつけるルフィのセリフも、とても力強く、わかっていても胸打たれてしまいます。

「お前は本物を知らねェ。だからそんなセリフが言えるんだ。仲間を信じる気持ちもねェやつが、洒落で海賊旗を掲げるんじゃねェ」

ルフィのセリフより

うーん、たまらない。改めてルフィに惚れなおしてしまいました。

映画オリジナルキャラクターも全員魅力的

先ほどから何回か出てきていますが、この映画のオリジナルキャラクターたちもそれぞれ魅力的です。

まず、今作のボスであるガスパーデは先ほど書いたように、ルフィの信念と真逆の要素を数々持ち合わせています。「クズの匂い」がすごいですが、それはそれで彼の信念です。悪魔の実の能力の特異性を活かした戦闘もあり、彼の強さはなかなかです。

そして、シュライヤもいいキャラクターしています。賞金稼ぎとしてガスパーデを狙うのですが、その理由が物悲しい。物悲しいけれど、そのためにあらゆることをやってきたことが語られており、彼にも彼なりの信念があることがわかります。

うーん、かっこいい。

それから、ボイラーマンのじっちゃん(ビエラ)。この映画の中で、一番ニクいキャラクターですね。彼にもまた信念があり、自身が整備するボイラーをとても大事にしています。しかし、彼が最後にとった行動……お前、なかなかやってくれるじゃねえか!とびっくりしました。

最後にアナグマ。ぶっちゃけ演技が若干アレなのですが、私はこの方がむしろ好き。もちろんルフィが主人公で彼の活躍が一番多いのですが、この映画はアナグマの成長物語という側面もあります。じっちゃんを助けるために、覚悟も甘いまま海賊船に乗り込んだアナグマが、麦わらの一味と関わる中でどう成長するのか。

この4人のキャラクターたちだけでも結構なドラマです。そして、ルフィたちのドラマとうまく共存しているのが見事すぎます。この映画のストーリー構成は、ONE PIECE映画シリーズの中で、群を抜いて高い完成度を誇ると思います。

結論:ONE PIECE初心者のための映画、ファンも満足

以上、この映画の魅力を語ってきました。高いストーリー構成力で描かれた、まさに「ONE PIECE初心者のための映画」だと思います。もちろん、ファンも原作のオマージュをたっぷり楽しめて、私も満足です。

確かに昨今の「FILM」シリーズからすると、ルフィたちの描き方に若干粗があったり、原作と絵柄が違ったりと、欠点がなくはないです。しかし、ストーリー構成が素晴らしく、キャラクターたちの魅力が端的にわかりやすく、信念の戦いが熱く、映画オリジナルキャラクターたちのドラマも熱い。

この映画はONE PIECE世界への入り口にぴったりです!

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