ゲーム感想

ゲーム感想「ファイナルファンタジー8」〜ボルダリングやろうと思ったら崖登りやらされた

今回はゲーム「ファイナルファンタジー8」の感想です。

印象に残るゲーム、といえば響きはいいのですが、このゲームの最大の欠点が各要素が非常にバラバラになっているように「見える」ことがとにかく足を引っ張った印象です。

それでは、今回の心への旅に出かけましょう!

目次

  1. スコールの恋心に理由がほしい!
  2. エルオーネは大事なのか? 所詮は脇枠なのか?
  3. 敵の姿を見失って、顔も失って…
  4. 所々は尖っているけれど、プレイヤーに登らせるにはキツすぎる

スコールの恋心に理由がほしい!

私が一番理解できていないのが、なぜスコールがリノアに惹かれるのか?という点です。ぎゃくはわかります。リノアは何度もスコールにピンチを救われて、そこに感情が動くこともあるでしょう。実際、イデアと初めて対面したときに恋心を抱いたのはよくわかります。

しかし、翻ってスコール。フィッシャーズ・アイランドで彼の本音を眠っているリノアにダダ漏れ状態で喋るのですが、正直「え!?」と戸惑ってしまいました。あなた、リノアに助けられたことあった!? あれだけウザがってたじゃん!

まあね、いいんですよ。最初ウザがっていた女子に対して恋心を抱いても。ですが、そこにはそれなりのきっかけがないと、物語を見ている側は納得ができません。納得は何にも優先するぜ!

なんでここまで独白するのか?

それでいうと、ラストの時空の狭間の描写もだいぶ理解が難しい。リノアを思い出すことができないのはなぜか? これをG.Fの記憶障害で片付けてもいいのですが、あれだけ好きだった女の子と強く交わした約束ですよ? 他の仲間たちはあっさり元の時代に戻れるのに、なぜスコール「だけ」が取り残されたのか、ここもいまだに理解できていません。

エルオーネは大事なのか? 所詮は脇枠なのか?

エルオーネについても扱いがよくわからない部分があります。彼女が持っている能力は、ラスボスが彼女を狙う、まさに物語のキーとなる能力です。なのですが、エルオーネ自身の立ち位置が曖昧に感じられます。ラグナにとっての血縁ではなく、スコールにとって大事な「お姉ちゃん」ではありながら、でも出番がそこまでないっていう。

正直、能力だけでいうと、リノアに次ぐレベルで大事な人物だと感じます。テキトーなこと言うと、セルフィと入れ替えて、リノアとダブルヒロイン張ってもいいレベルなのでは?とすら感じます。でも、そうではないのでモヤモヤ。

そして、主題歌の「Eyes on Me」。これ自体はすごくいい歌ですし、ゲームの内容にもマッチしています。でも、ジュリアがラグナに向けて作った歌という、スコールからするとかなり遠くに位置するギミックでもあるんですよ。ゲーム内的な要素として、これをメインテーマにするのはちょっとどうなん?と思います。一瞬出てくる脇役の作った歌ですからね? なんでそんなところに割り当てたんだろう。エルオーネとか、レインが作った歌ならまだわかるところあるけどなあ。

敵の姿を見失って、顔も失って…

また、魔女アデル。こいつはなんなんですか? 封印されていて、中々ヤバそうな雰囲気は出していたものの、いざ戦ったらあっさり撃破。以降、まったく出番はなく、今までのフリがウソのよう。

これだけでなく、このゲームは全体的に対峙するべき敵の姿がよくわからないんですよね。最初はガルバディアとその後ろにいる魔女が明確に対峙すべき相手だと分かるのですが、それ以降、敵の姿がモヤッとしてくるんですよね。

明確にそう思うポイントがあります。一つに、ガルバディアが魔女イデアを担ぎ上げようとしていたところで、魔女が逆にガルバディアのトップを殺害してしまうという行為。これによって「あれっ、ガルバディアって、結局魔女イデアに操られてしまっただけの可哀想な国なの?」と思わされてしまったのです。いや、実際そうなんですけれども。

そしてもう一つ、今度は自分たちが敵だと思い込んでいた魔女イデアが、小さい頃に慕っていた「まませんせい」であったということ。これはこれで衝撃的な事実ですし、イデア個人に対する感情が反転するという上手さはあります。これ単体なら問題ないんです。しかし、全体で見ると、対峙すべき敵を見失った状態になってしまうんです。

このシーン、穏やかな気持ちになりつつ、もやもや。

ここで魔女アデルの存在は語られるものの、一度も目にしたことがない人物に対して「こいつは絶対やっつけなければ!」と思うだけの理由も持ち合わせていません。結果、私は曖昧な目的に向かってなんとなくストーリーを追うような状態に陥ってしまいました。

所々は尖っているけれど、プレイヤーに登らせるにはキツすぎる

以上、それこそ箇条書きになってしまったのですが、このゲームは各要素自体はよくできていると思います。しかし、その要素の繋がりが非常に薄かったり見えづらかったりして、結果ゲーム全体としては「なんなんだこれ?」という印象を抱かせてしまうものになったように感じました。

プレイヤーに想像の余地を残す、といえば聞こえはいいですし、確かに実際今になってこのゲームの考察動画がたくさん上がっていることから、良い意味で機能している部分はあります。でも、余地を残し過ぎると、想像の手がかりすら見えないということにもなりかねません。私は後者の方にあたってしまった感じです。ボルダリングをやろうと思っていたら、何のヒントもないガチの崖登りをさせられたかのような気分です。手がかりが自分では見つけられないって!

本当やで!

と、いろいろ書いてしまったのですが。でもねえ、なんか印象には残るんですよねえ。それが不思議なんですよねえ。あと、やっぱり歌がいい。すっごい良い。メロディラインが最高です。