ゲーム感想

徒然ゲーム録『新すばらしきこの世界』 ~がっつりやりこんだ子どもの頃を思い出す

よく言いますよね、「学生時代は金がないけど時間がある。社会人は金があるけど時間がない」と。最近、大作ゲームをやることも減ってきてしまって、その通りだよなあと思っていたんですよ。

でも、最近、100時間超えてやってたゲームがありまして。
『新すばらしきこの世界』っていうんですけど。

ここは竹下通り!

並みのゲームではなかった前作

このゲームには前作がありまして、それが『すばらしきこの世界』です。今となっては懐かしいニンテンドーDSのソフトですが、DSの機能をフル活用したバトルが爽快で、当時学生でヒマしてた私はかなりハマりました。

近年、Switchでリマスター版も発売され、これまたきちんと裏ボスを倒すところまでやりましたとも。これもSwitchのジャイロを使った斬新な操作方法に変わっていました。なんと、片手だけで遊べるという。

また、ポップな見た目に反して作品のストーリーは重く、人の死や価値観の衝突、中学生の精神的な成長がしっかり描かれています。さらに世界観の描写も、ある側面は濃いのに別の側面はまったく描かれないという、コントラストというか描写の大胆さも兼ね備えており、正直並大抵ではないゲームだと学生の私でも理解できました。

FFやドラクエほど売れたわけではないと思いますが、それでも根強いファンがいたのでしょう。何度もリメイクされ、アニメ化され、約15年経って新作が発売されたわけです。(アニメ版は端折りすぎてちょっといかんかったです。ダンガンロンパと同じパターンです……。)

今作のシステム、マジで面白すぎ。

さて、前作の大ファンであった私は当然これを購入し、アルセウスそっちのけでやり込んでました。裏ボスを倒し、隠しエンディングを見た頃には、全キャラのステータスがMAXになっていました。そして、冒頭で書いたように、プレイ時間が100時間超えてました。

まず、バトルやシステムはとても面白かった。これは前作以上だと思います。

最初はオールボタン操作と聞いて「すばせかの工夫はどうしたんだ!」と勝手に怒ってました。ボタンぽちぽち押して一人ずつ交代して攻撃する……みたいな。すばせかではタッチ、スライド、ボタン、マイクと、機械の性能全部使っていましたから、今作もそういう工夫を凝らしているのかと思っていたのです。でも、全部ボタン操作かあ……と思っていたら。ある時「ボタン同時押しで同時に攻撃ができる」と気づいて、一気に面白くなりました。

バトル画面も派手!

このゲームはコンボをいかに繋ぐかがキモで、そのため同時操作をすることが求められます。なんと、最大6人での同時攻撃も可能です。しかし、操作をしている間は敵の攻撃も当たるため、無闇に全員攻撃すると受けるダメージも6人分になってしまいます。

そこで、誰の攻撃の後に誰が攻撃するか、その間にさらに次の攻撃のためにチャージしておくべきか……というアドリブ性のある戦略が非常に重要になります。強いボスの時は回避のためにあえてコンボを無視する判断も必要になります。というか、隠しボスはこれができないと全ステータスMAXでも一瞬で全滅します。

こうしたバトルシステムが最高に面白いので、普通にバトルばっかりやってる日もありました。必殺技打つとむしろ単調でつまらないくらいです。だから、プレイ時間が大変なことになるんですね。

また、バトルの連戦やHP最大値を縛ることで敵のドロップ確率が増えるシステムも好きです。これは前作もあったので、続投は嬉しかったです。積極的に連戦したくなるし、ある時からずっとHPは最低値固定でした。

そして、バトルの時の曲がすごく特徴的です。フィールド含めてほぼすべてがボーカル曲で、今回はよりロック調でした。このゲームは操作が忙しいので、がちゃがちゃした曲が合うんでしょうね。

ストーリーだけが、ちょっと残念。

さて、ストーリーですが……これはちょっと残念だな、という感じでした。悪くはないんですが。

前作は主人公ネクの価値観の変化が大きなポイントになっており、それが彼の特徴的なアイテムであるヘッドフォンで明確に示されていました。また、仲間たちとの衝突も、誰が見てもわかりやすい描写で、言ってしまえば中学生らしい感覚です。

しかし、今回の主人公リンドウはそういった変化が非常に見えにくかったです。よくよく見ればちゃんと変化しているのがわかるのですが、それにしても見づらい! 見えやすいストーリーラインは、死神ゲームの行方で、これは中々アツい展開です。だからこそ、リンドウの心理描写とマッチしてほしかったなあ……。

私個人の見立てでは、随所に挟まれる「高校生らしい会話」が見えづらくしてしまった原因だと思うのです。

実際、普通の高校生は人の価値観だったり、何を心で大事にしているか、世界をどう見ているかという話は滅多にしないもんです。そういう意味では、高校生らしい会話を挟むのはリンドウたちらしいといえます。しかし、それがためにストーリーの奥行きがないように見えてしまうのは本末転倒というやつです。

前作は、まあネクがちょっとアレな人物だったので中学生らしい会話もなく、テーマが剥き出しでした。最終盤でフレットやナギの価値観が見えた瞬間はよかったです。良かったけど、それをもう少し早くやってほしかった……。

楽しそうな場面ですが、実はつらい状況でもあるシーン

とまあ、若干苦言を呈しましたが、でもストーリーラインはやっぱり面白いんですよね。タイトル画面にいるフードの人物の正体が明かされた時とか。そもそもミナミモトが仲間になる時点で前作ファンは歓喜です。私も歓喜です。

コンテンツ過多な時代に100時間やってる自分、かっけー!(笑)

冒頭にも書きましたが、社会人になってからやっぱり可処分時間は明らかに減っています。しかし、世の中のコンテンツは山ほど増えています。企業が出すものだけでなく、個人が当たり前のように高クオリティのものも出してきて、もちろん全部なんて見れないんですよ。

それら全部を楽しむなんて到底無理だし、じゃあ倍速で楽しめばいいかというとそうでもないと私は思っています。それは「理解」はできるけれど、「感じる」ことはできていないと思うので。娯楽は娯楽です。私がゲーム実況者ならともかく、そうでなければゆったりまったりやってナンボでしょう。

だから、このゲームに100時間突っ込んでいる自分、めちゃくちゃ「感じて」いるわけです、この世界観。

かっけー!(笑)

というのは冗談としても、娯楽くらい目的がなくてもいいではないですか。私も当初はこのゲームをさっさとクリアしてアルセウスやろうと思っていたのですが、がっつりやりこんでしまって、それはそれですごく良かった。

遊んでいるときくらい、やっぱり子どもに戻りたい! そう思えたゲームでした。