たまにクソ真面目な古典を読むときもあるんです、私。なんとなく、人類の歴史を振り返りたいと思うときもあるのですよ。ということで、今回は『もういちど読む 山川世界史』を読んだ感想。
しかし、この青い世界史の本はトラウマものです。受験で世界の教科書をとにかく読みこみましたよ。色々な戦いの名前に緑マーカー引っ張って、赤い下敷きを重ねることは、本当よくやりました。しかし、私は記憶力がないので、全然覚えられなくて、センター試験でやっぱり泣きを見ました……。
最近、これを読み直したのは、別にまた受験するというわけではありません。たまたま、以前チェコを舞台に物語を書いたとき「あっ、世界史って面白そうかも」と思って、改めて流れを見たくなったのがきっかけです。
さて、実際これを読み直してみると、昔学んだ単語がまあ出るわ出るわ。似た単語もいっぱいあるし、皇帝の名前はかぶりまくっているし……私の記憶力がどうこうではなく、単純に覚えるのが難しいわけですよ。
しかし、単語を覚えるプレッシャーと無縁で世界史を見ると、人類がどのようにして今に至ったか、うっすらですが流れが見えてきて、これぞ歴史を学ぶってことよ!という感覚がありました。なぜ皇帝というシステムが誕生したのかとか、民主政治がどういう流れでできたのかとか。
特に面白かったのは、理想を掲げた政治家がいかにして夢破れたのかのあたりですね。ロベスピエールとかクロムウェルとか。確かに彼らが出てくる前の政治が腐っている状態にあり、それを「清く正しいものにする」という理想を掲げて彼らは立ち上がったのでしょう。しかし、その理想と現実のギャップに苦しみ、理想に固執するあまり逆に体制が歪んでいく矛盾に陥り、最終的に倒されるという。
これに限らず頻出するのが、新しい体制や文化ができあがると、それに対するカウンターも同時に起こり、カウンターに耐える場合もあれば耐えられない場合もある、ということでした。理想はきっぱり変化できればいいのですが、現実はそうではないのでしょうね。人間個人でもそうですしね。
そういう新しい流れと古い流れのせめぎあいをしながら、世界は緩やかに変わっている。そんなことを読み終わって感じました。今は変化が激しい時代だとは言われますが、結局変化をしていくのは、私も含めた個人であり、その集合体ですからね。個人がついていける変化のスピードには限界があり、いずれ私も古い流れの方に入っていってしまうのでしょう。
古い人間は消え去るのみ。でも、そういう流れが起きたメカニズムくらいは伝えていければいいかな、と思った次第です。