映画感想

映画感想「キングダム〜運命の炎」 〜 戦略・戦術・戦闘!

「コココココ、童、蛮天丸、今日もいい感想書けていますかぁ〜〜〜?」

「オウ!」

って言えたらいいなあ……。

はい、茶番すみません。今回は映画『キングダム〜運命の炎』の感想です。

キングダムも三作目かあ

結局、なんだかんだこの映画シリーズ全部観ていますね。「キングダム」映画版は、壮大なスケールで描かれる中国戦国時代を舞台にし、のちの秦始皇帝となる「嬴政」、それを支える大将軍となる「信」の二人を主軸にした物語です。

秦という誰でも知っている歴史物語でありながら、緻密なキャラクターの過去や決意、そして大きな戦略の中に息づく熱い展開で観る者を引き込む作品ですよね。

さて、映画では3作目となりますが、今回は敵国に攻め込まれ、秦国内に主力勢力が王毅しかいないというところから物語が始まります。

政が王になるまでの壮絶な覚悟……なのだが

そこで語られる、政の過去と王への道のりが最初の大きな山場です。

政が遭遇した過酷な過去は、彼の強さと王としての覚悟を理解する鍵となります。敵国に人質として送り込まれ、周囲から猛烈に扱いを受け、彼は視覚以外の五感を失うほどの困難な状況にいました。

しかし、闇商人の紫夏と出会い、そして彼女と祖国に向けて脱出する壮絶な作戦の中で王として進む決意が描かれるシーンは感動的でした。人から受けた恩を次の世代に受け継ぐ、それが血を流しても中華統一をするという大きな動機になったのは、とても良かったと思います。

ただし、映画中で紫夏が政に対して抱く思いについての描写が不足していると感じました。漫画では詳細に描かれているであろう背景が、映画では短縮されているため、彼女の思い入れが理解しづらい部分がありました。

悲壮感はすごくあるのですが、なぜここまで必死になれるのかがわからなかった。。。

戦略と戦術、戦闘の組合せの妙

戦闘の規模の拡大と戦略の重要性も映画のポイントです。映画が進むにつれ、戦闘の舞台は大きくなり、個々の戦略や策略が物語に深みを加えています。戦いの最初で「なぜこんな形で大隊を動かすのか?」と不思議なシーンがあるのですが、それはほんの小さな百人隊を生かすための戦略とわかった時のカタルシスや! その一方、百人隊自体のミクロな戦いの中にも仲間のために戦う人たちがきちんと描かれていて、そちらも熱い展開でした。

フィクションでは、一人一人のミクロな戦いが、なぜか世界を揺るがす大きな戦いになることがあるのですが、この映画はうまくミクロとマクロを使い分けていて、それでいて連動もしている点がとても素晴らしかったと思います。

やっぱり信の戦いは見ていて爽快ですね!

一方で、戦いの主軸である信や貂の成長についての描写が少なかった点は残念でした。彼らの成長や変化がもっと詳細に描かれれば、キャラクターの魅力がより深まったかもしれません。映画の尺が限られていたことも影響しているとは思いますし、政ほど乗り越えるべきハードルが描かれていないことも影響したとは思います。

悪くはないけど、消化不良が大きい

今作は全体的に戦い、特に戦略と戦術と戦闘の描かれ方が非常に巧みでした。その一方で人間ドラマでは私個人としては物足りなさを感じました。最後の最後で思いっきり次回作があると見せているのに、公開日がまったく示されていないのが正直心配な点ではあります。

1作目、2作目、3作目と結構良い出来だったので、ある程度キリのいいところまでは駆け抜けて欲しいなあ!