以前から感想記事をいくつか書いていたテレビアニメ『ARIA』の第3期を観終わりました。とても良い作品だった。特に私が先輩になったばかりで、本当にいいタイミングで見ることができました。
第3期の中で、特に私がお気に入りなのは、第8話「その大切な人の記憶に…」です。とにかくね、アテナさんが可愛い! 普段ののんびりした感じも好きなのですが、この回で真面目にキビキビ動いている時の違和感がすごい! しかし、それが逆にいい。
そして、それ以上に後輩を愛し、後輩に愛されるからこそ、の不安が今の私にとてもよくわかるのです。この話に限らず、第3期はメイン三人がプリマ・ウンディーネになるにあたり、先輩側の視点も今まで以上に深く描かれているのが特徴的です。先輩三人もメイン三人に負けず劣らず、それぞれに不安があったことがよくわかります。
我々からみれば、後輩組は先輩を好きなことは自明なのですが、でも先輩からすればどう思われているのかはわからないものです。きっと自分のことを慕ってくれているとは思いつつ、でも本当にそうなのか不安になってしまう。あるいは、慕ってくれていることに甘えてしまう自分がいることを知る。今期はそういう先輩の人間臭さというか、聖人君主ではなく、一人の悩みを抱えた人間として描かれていたのがとても良かった。
私個人の今の立場から、こういう先輩の描き方が深く刺さりました。最近、私も先輩三人と同じように後輩に仕事を任せたり育成することがあります。まあ、「愛し愛される」というわけではないですけれども、その関係性には悩んだりします。
単純に仕事を教えて、彼らができるようになればいい、というものではないのです。それも仕事を回す上で重要なのですが、それ以上に考え方というか、彼らがどういう思想を身につけていくべきかを考えることがしばしばあります。
考え方の芯というべきものでしょうか。
もちろん、私という人間をコピーする必要はありません。生まれや育ちなどは後輩と私とで大きく違う。経験もまるで違う。だから、私と同じ考え方を身につけることを求めるつもりはない。ただ、大事にしたいことを大事にしてほしい。そういうことをどうやって伝えればいいのか。
あるいは、私が後輩から教わることもたくさんあります。知識や経験は私の方がありますが、それは逆に「知識や経験がない人のリアクション」を忘れてしまったということでもあります。だから、後輩たちが何かにぶつかって戸惑っている様子を見て「あ、自分もこういうことでぶつかっていたなあ」と思い出すことはしばしば。そんな戸惑いとどう向き合うのか。私が答えを出すのは容易だけれど、そういう葛藤をあえてさせることも時には必要なのかな、と思います。
知識や知恵は伝えることは簡単です。でも、それらを積み上げてきた先人たちの想いをどうやって受け継いでいくか。それが最近の私のテーマであり、それがこのARIAの第3期で理想的に描かれているのだなあ、と思うのです。
この物語でメイン三人は先輩とは違う個性を持ちつつ、今まで先輩が大事にしていたものをきちんと受け取り、それを自分の形にしていけたのだなあ、と思うのです。
ARIAシリーズはこの3期でメインは終わります。なんだかんだで長く付き合ってきたアニメシリーズでした。もちろん話数も多いのですが、それ以上にゆったりとした時間の流れを感じて、リアルな視聴時間以上にアクアの世界に浸かっていたような気がします。とても楽しい時間でございました。