今回の記事は、「話題のChatGPTって大したことないじゃん」と思っている人向けです。私も最初はそう考えていましたので、過去の私に向けた内容にもなっています。
この記事のまとめ
- ChatGPTは回答精度が低く、小説として売れそうなものしか生成しないという問題があると思っていました。
- しかし、ある動画を見て「ChatGPTはアイデアを掘り起こすための道具となる」可能性があることに気付かされたのです。
- そして、物書きにとってもテーマの深掘りが重要であり、ChatGPTはそのアイデアを掘り起こすための有力な道具となる可能性があります。
今回はそんな私の発見を共有させてください。ちなみにこの概略もChatGPTを使って書いてみました。
ChatGPTに対する思い違い
昨年末から、「ChatGPT」と呼ばれるAIがとても騒がれています。しかし、みなさん、「使ってみたけど、なんだよ、大したことないな」と考えていませんか? 私も当初はそう考えていました。
私はものを書く立場ですが、そうした人の観点から「大したことがない」と感じるのには、いくつか理由があると思います。私は主に下記の二つを感じました。
一つ目、「回答の精度が悪い」。
いわゆる検索エンジンの代わりとして用いられるような雰囲気もありましたが、実際の回答精度はよろしくありません。そもそも公式が「AIの回答は絶対に正しいとは限りません」と注意をしているくらいなので、その通りなのでしょう。これについては今の検索エンジンでも一番上に出てくる答えが必ず正しいとは限らないのと同じです。期待しすぎは禁物、ということですね。
二つ目、「小説を作らせても普通の売れ筋みたいなものしか出てこない」
これも物書きとしては割と致命的な弱点だと思います。冒険する小説を書かせると、ファンタジー物語に寄りがちです。それも最近は異世界転生が多いので、そういう方向に寄りがち。でも、それ自体はすでに巷に溢れていて、今さらAIに書かせたところで新規性はありません。ある程度の起承転結はまとまるものの、それ以上でもそれ以下でもない。
そうした欠点があり、結局は「完全な代筆はできない」という結論に一度は至りました。そうすると、結局「ChatGPTの使い所がわからない」となってしまい、このサービスを放置してしまうわけです。
ChatGPTはアイディアを掘り起こすための道具だった
しかし、後日、ある動画を見て私は考えを一変させました。宣伝するわけではありませんが、下記の動画です。
色々テクニックは語られていますが、重要なのが「ChatGPTはアイディアを深掘りするための道具になる」という点でした。そして、これは物書きにとっても重要なことです。
小説を本格的に書くときには、テーマの深掘りが必須となります。小説自体、算数などと違って答えがあるものでもありませんし、哲学などと違って必ずしも論理的に話を進める必要がありません。しかし、本格的に突っ込んでいけば、哲学的な領域や、心理学的な領域に足を突っ込むことになります。そうした領域には絶対的な答えがなく、自問自答によって自身の考えを深めていくことが必要になります。
私の場合、それをマインドマップで行ったり、こうやってテキストに書き起こして自問自答をしていました。しかしながら、いかんせん私一人で行なっているので、どうしても行き詰まってしまうことがあります。
そうしたときに、ChatGPTを使うことは良いのではないかと、思うのです。
例えば、最近流行っている「ぼっち・ざ・ろっく!」という漫画原作のアニメがあります。あれのテーマの一つは「青春コンプレックス」でしょう。(少なくとも私はそう考えています) では、その青春コンプレックスとはどういうものか、なぜそんなコンプレックスが生まれるのか? 主人公のぼっちちゃんの心情を理解する上では、そのテーマの深掘りが必要だと思います。
そこで、ChatGPTを使ってテーマを深掘りすることができる。

まあ、私は「ぼっち・ざ・ろっく」の二次小説を書くわけではありませんが、なるほど、これはとても参考になる。
あるいは、この回答に不満があるかもしれません。今までの音声アシスタントでは問いかけ直すことはできませんでしたが、このChatGPTであれば、容易に問い直すことができます。

自分が納得しなくても、その旨を返せば何かしら答えは返ってくる。これが今までのAIではできなかった、優れた部分だと思います。先に紹介した動画で思考の「壁打ち」と例えていましたが、まさにそうだと思います。
物書きにとってテーマの深掘りにはとても使える
最初、私は「なんでも自分の代わりをやってくれればいい」と思っていたのですが、そうではないんだなと。「AIに自分の代わりをやらせる」ではなく「自分自身がより高度なことを行うために、AIにアシスタントをやらせる」ことが、この使いこなしで重要です。
従来から言われているように、AIは得意な分野もあり、同時に苦手な分野もあります。なので、我々人間は得意なことをAIに任せて、自分たちにしかできないことにより特化していく必要がある。
小説などは特にそれが顕著な分野です。確かにAIに小説を書かせることはできますが、結構ありきたりなウケパターンしか生成できません。まあ、売れるためにはそれだけでもいいのですが、私のようにウケ狙いではない何かを書こうとしたとき、そこには感性や考えの深掘りが必要になってきます。
そのとき、AIにその手伝いを行ってもらうことはかなり使えると思います。自分が延々考えていても思いつかなかったことを、この壁打ちでハット見つかることがあると思う。
言ってしまえば、昔の文豪がサロンで色々なことを話し合っていたのと同じようなことを、一人でAI相手に行うようなものです。もちろん、感性が尖っている人間と話すことの魅力もある。でも、それがより手軽にできるのがこのChatGPTの凄さですね。
ChatGPT自体がすぐに我々の仕事を奪うことはないと思います。しかし、AIを使いこなすことのスキルは今後求められていくのだろうな、とつくづく感じました。練習がてら、こいつを使ってみることは良いと思います。というか、こうした流れが今後加速していくことを考えると、今のうちに遊んでおくことが確実に将来の役に立つ、とすら思います。
私はあんまりこういうノウハウ的なことを伝えることはしないのですが、今回ばかりはさすがに感動したのでこうして記事にした次第です。