アニメ感想

徒然アニメ録『パリピ孔明』〜発想が最強、孔明は最強

「最強のパリピ」と聞くと、皆さんはどんな人を思い浮かべますか? ダンスが上手い人? 音楽を仕切るDJ? クラブのマスター?

ノンノンノン。確かにその人たちも強いですが、最強とは言えません。最強とは、そう。姓は諸葛、名は亮、字は孔明。

諸葛亮孔明です。

ということで、今回は『パリピ孔明』の感想です。発想の勝利だけで終わらない面白さがありました!

発想の勝利、まずはそこ。

巷には「発想の勝利」という言葉があります。これはアイディアを考えただけで面白すぎて、その詳細など聞かずとも満足できてしまうという意味合いです。そんな言葉がピッタリのアニメが、まさに本作『パリピ孔明』。

いいですか、よく考えてください。

諸葛亮孔明が

パリピ。

どーいうことなのよ! クラブで踊るのか? テキーラ飲んでパーリーナイするのか!? ディスコでEDMでアゲポヨするのか!?(実際、ほとんどやってる)

タイトル聞いた時点で興味津々になるに決まっています。もうその発想に私は負けましたとも、別に戦っているわけではないのだけれど。この後に語るストーリーでさえ、タイトルの前には些事。三国志のなんちゃらにとってのなんちゃら。(上手い喩え知らない)

そんなわけで第1話を観たら、これまたビックリさせられました。

展開の早さで魅せつける大事さ

展開が早い! 恐ろしく早い!

私は最近の転生モノのアニメは全然知らないのですが、正直このテンポに最初面食らいました。孔明がなぜ渋谷に転生したのか、なぜ若い頃の姿になっているのか、なぜ日本語がわかるのか。そういった疑問は作中でも一瞬触れられますが、それに対して一切の回答がないままどんどんお話が進みます。大事なのは歌手を目指していた月見英子との出会いであり、彼女の歌の魅力であり、孔明が英子の軍師になるという点であり、転生のことはどーでもいいのだよ、ということがはっきりとわかります。

でも、確かにそうなんですよね。実際、私がこの物語での転生の原理を知ったところで、本筋とはあまり関係がありません。この物語の面白さは、英子の天下泰平までのサクセスストーリーなのですから、そのSF設定はむしろ邪魔といってもよい。このへん、思い切った割り切りをしているのはすごいと思いました。

そのテンポが第2話、第3話と続き、ここらへんでこのアニメの世界観に囚われてしまいました。「まどマギ」は第3話でガッと惹きつけていましたが、このアニメは第1話のインパクトが強烈で、だから第3話まで繋げて、あとはペースダウンできるのでしょう。

王道は面白いからこそ、王道

さて、そんな感じで一気に引き込まれまた物語でしたが、タイトルとは裏腹に展開はかなりド王道でした。最初に孔明と英子の出会いがあり、英子のファーストサクセスストーリーがあり、仲間を見つけ、ライバルと出会い、仲間の悩みを解決し、ライバルを倒して大きなサクセスを掴む。もはや少年漫画的な展開といっても過言ではないでしょう。あるいは最近よくドラマや映画になった池井戸潤作品のようでもあります。

と、幾つもの類似作品があるとはいえ、やっぱり王道、面白いんですよね。一見、誰にも勝てそうにない弱者が、強者を知恵でねじ伏せるところ。そして、実は弱者と思っていた人にも強者を大きく上回る能力があると判明すること。さんざん手垢がついた展開なのですが、昨今のアニメでは逆に珍しくなっているのかもしれません。そういう爽快感、カタルシスを味わうことができたのは久しぶりでした。

特に第9話「たみくさのために」で、英子が有名なアレンジャーに対して成長した姿を見せるシーンは爽快でした。今まで散々舐めた態度を取られてきましたが、英子が真摯に歌うことに向き合い、練習を積んだ成果を見せたシーンが最高でした。というか、アニメの表現上ですが、ガラスがパリーンと割れたような演出もあり、その爽快感に拍車をかけていました。ベタ中のベタなのですが、素晴らしい表現だったと思います。

でもやっぱり孔明パリピ。

さて、テンポや展開を評価しましたが、やっぱりね、最後はこれです。孔明。「パリピ孔明」と銘打ちながら、孔明がパリピでなかったら許せませんからね。しかし、心配ご無用、そこもきっちりカバーしてくれました。

孔明は間違いなくパリピでした。

あ、このアニメの孔明ね。史実の孔明は知らないです。
先にも書いた通り、孔明はちゃんとパリピします。テキーラ一気し、渋谷や六本木のクラブ周りをし、ドンキでパリグラス(面白メガネ)を買い、ラップバトルをし、リングフィットアドベンチャーをし、ウェーイをしてくれます。

正直ですよ、毎回そういうシーンが出る度に笑ってしまいました。しょうがないじゃん、昔の中国の服を着た孔明が、そんなパリピなことやっているんだから。そもそも、このアニメのオープニングからして、孔明がダンスってるし、車乗りこなしているしで、まあやりたい放題ですよ。

でも孔明だから「仕方がない」で済ませられる。転生モノの中で一番強いんじゃないですかね、「何やっても許される」という方面で。

最強すぎるわ!

ということで、『パリピ孔明』第1クールの感想でした。一旦ここで区切られていますが、どう考えても続くような終わり方でございます。ぜひ、第2クール以降も続けていただきたいですね。三国志でいうところの、なんちゃらのなんちゃら的な感じで!(本当に三国志知らない)